中高木植栽について



私が高中木の植木を扱うときの手順を言います。


まず、品定めですが、私たちが図面を書いて高さを落とし込んだものを
もとに発注をかけます。そのとき、先方にこういう使い方をするから
幅りや傾き加減の良い塩梅のものを、と注意書きをしています。
相手方もそれに応じたものを用意してくれます。
特に私のようなデザイン重視の人間には相手も心得ていて
それなりのものを準備してくれます。
ですから見積もりの段階では実物を見てなくて、値段が幾らというのは
それまでの経験と相場を見て言っています。
ここまでの信用を持ってくるのは相手との付き合いを通じて築き上げたものです。

次に実際に引き取りに行った時に、実物を見て、相応であれば○、
いまいちであれば、農場の他のを探します。
それでもなければ値段の交渉をすることになりますし、
庭作成に力不足と判断すれば、他の樹に変えたりもします。

実のところ、植木屋さんの仕入れというのは問屋買いが多いです。
それはそれで、近場で手に入るというのは便利ですし、
公園工事のように大量に、また規格の決まったものを用意する場合はメリットも大きいです
が、私のように個人のお宅を中心に、各々特徴のあるデザインでやっていくとなると
どうしても自分の眼で確かめたくなります。
一般に使い勝手が悪いと思われるような樹形であっても、使う場所によっては
最高の品になる可能性もありますから。まさに適材適所ってやつです。

そのために私は農場に赴いて、自分で確認したものを入れています。
その樹を育てた生産者の顔と、それが育った土を実際に確かめて持ってきます。
そしてご要望があればお客さんと一緒に樹を選びに行きます。半分ピクニック気分ですが…(^^)
図面の中の設計を実際に形にして意匠を到達するためにはやはり大事なことだと考えますし、
何より愛着もひとしおです。


ところで、我々の出す単価は園芸店や植木市等で出されてる価格と比較すると
少々高いと思われる方もいらっしゃるかと思います。
ですが私の出す単価は、搬入、植え手間、1年枯れ保証込みの金額です。
さらに言うなら先ほどの適材適所。しかるべき場所にふさわしい樹を選んで植える。
(実際、夏に葉焼けするような遮るものの無い南側部分に
葉の薄い落葉樹を1本だけを植えるといった馬鹿の一つ覚えのような植栽プランはしません)
さらに、さらに、私が樹を植える時、同時に気も入れてます。
樹に気を入れる・・・なんちゃって。でも本当なんです。
だからこそ、もし樹が枯れたときに、自分が見定めて植えた樹であれば、
どうして枯れたのかを樹以外のところで原因を考えられますし、
同じ過ちを踏まないように手も打てます。(枯らさないにこしたことはないんですが)
そしてもうひとつ、方向も大事。「見付け」というんですが、これによってその樹がその場面で活きてきます。
植え穴の中で微妙に向き。角度を変えてるのがそれです。
そこまでの精魂こめて植える1本。
これを読んでいる賢明な読者さんには判っていただけると信じます。


以上、庭の骨格である高中木の記述でした。
低木、花物に関しては、私はお客さん自身に楽しんでいただくことを良しと考えます。
もちろん、高さ、色の組み合わせ。全体の雰囲気を考慮して忠言、実際の植栽もしますが
本当に望むのは、そこに住む人の手によって、創らせていただいたその空間が素敵になっていくことです。
「建築は出来たときが100%、庭は出来たときが50%」という言葉がありますが、
5年後、10年後、30年後には200%になっていて、さらに素敵になって一緒に楽しんでいる。
そんな空間を創りたいですね。











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