お施主さん筆:こだわりの意気込みを見よ!
きっかけ:
昨年上田さんに庭とデッキをつくっていただき、(「太宰府連歌屋の家」をみてくださいね)
「さあ、デッキにテーブルセットを置こうか!」
…とあれこれ探していたのですが、なかなか、これ!といった物に出会えませんでした。
室内の床面に合わせたためデッキの高さが地面から50センチくらいあり、よくある輸入物の
チーク材などのテーブルセットを置くと下から見たとき圧迫感が出るのでは?(天板や椅子
の背もたれの高さが高いものが多いので…。)という懸念もありましたし、また、テーブルの
天板もバーベキューなどのときは広い方がいいけれど、普段はあまり大きいと邪魔になるし…、
と迷っていました。
そんなとき、上田さんから、「市販のもので気に入ったものが見つからなければ、
オリジナルのテーブルセットを作ってみましょうか?」 というご提案をいただき…、
「それは楽しそう!デザインにも製作にも参加できるし!」と、わくわくのテーブル作りが
スタートしたのです。
材料とデザイン決定までの流れ:
材料…当初は、加工しやすく木の中では耐久性もある米杉に、タイル張りを予定していました。
でも上田さんの「ずっと可愛がってもらえるよう耐久性のより高いものを!」との思いから、
骨組みは鉄骨でオーダー、天板はモルタルで下地を作りその上にガラスタイルを張り、
しっくいで目地を入れることになりました。
しっくいは強アルカリ性のためカビにくく、雨ざらしの環境でも白い美しさが永く保てる
だろう…と、普通なら目地セメントを使うところをあえてスペイン産のしっくいを使う事に
しました。裏側の見えない部分もしっくい塗りです。ぜいたくな…そして賢明な仕様ですね。
鉄骨と聞くと、重いんじゃないかと思われるかもしれませんが、中は空洞なので意外と
軽いんです。天板は重いですけど、大人が二人いれば移動出来ます。
デザイン…普段は邪魔にならず、必要なときだけ広く使えるようにネストテーブル形式
にしたいとお願いしました。ガーデン用のネストテーブルって市販では、みかけない
んです。我ながらいいアイデア。
「ガスボンベと鋳物コンロを置くことも出来るし、流し台も設置して本格的なアウトドア
キッチンにする事も出来ますよ」 との事でしたが、流し台については、場所を取るのと、
デッキのすぐ裏に水道がありそこまで必要性を感じなかったため、やめました。
ハイカロリーの鋳物コンロについては、あれば強い火力で炒め物ができるし、春には
大きなお鍋でタケノコをどーんとゆでたり、また寒い季節にはやかんを乗せて暖を取りながら
コーヒーを淹れる…なんてこともできるなあと思い、取り入れる事に決定。
さらに、ガスボンベを見苦しくなく収納できるよう考える事にしました。)
天板の形は六角形や八角形と迷った結果、小端積み壁泉のアールの線とリンクする
円形に決定。そして天板の大きさと高さは上田さんが夜なべして作って来てくれた(^_^;)
ダンボールの模型で確認し、決定しました。
小テーブルにはキャスターをつけて、出し入れしやすく。また小テーブルの中にガスボンベを
隠しながら収納できるよう側面にもタイルを張って、ボンベを乗せる三角形ワゴンを作ることに。
なぜ三角形か?…それはテーブルが三本脚だからです。さらにテーブルの上に張っている
日よけターフも三角形。三角形と円形のコンビネーション!をねらいました。(^^)
ちょっとしたハプニング…ここまでの段階では、ベンチもテーブルと同じくモルタルにタイル張り、
そして中は収納にしようということになっていました。形は円形に沿う扇形の予定でした。
ところが…鉄骨が出来てくると、オーダーしたものとは違う形になっていたのです。
平たく言えば鉄工所のミスで、そこで、普通なら「作り直し」となるのでしょうが…
上田さんは、その鉄骨を見て「これはイケル!」とひらめいてしまったそうです。
「ポリカをはって中に照明を入れましょう!」と。
その鉄骨骨組みは造形的にはきれいな形で、端っこの方が多少狭まっていますが
実際座ってみるとベンチとしても十分機能するものでした。
なによりも、上田さんの意気込みがすごく、「アーティストがこれだけの意気込みを
持っている時は、おまかせしたほうがいいものが出来るだろう」 と、上田さんの直感を
信じる事にしました。
Making
製作から完成まで:
みんなでタイル張り…何しろ初めて尽くしの製作。モルタルでの天板作成も興味津々・楽しんで
見学しましたが、一番楽しめたのはやはりタイル張りです。
makingのところでも触れられていますが、「八幡の庭U」の、中野さんが手伝いにきてくれました!
中野さんとは以前からの知り合いだったわけではなく、このHPを通じて、お友達になる事が
出来たのです。庭作りを介して人の輪が広がっていく…素晴らしい事だと思います。これも上田さんの
真摯な姿勢のたまもの!だとつくづく感じています。
タイルの張り方は実は直前になって決まりました。シンプルかつ効果的なこの張り方は、中野さん
宅の玄関周りと同じです。白を基調に、ガラスタイルの豊富なカラーバリエをフルに使ってます。
上田さんいわく、「同じ張り方でも、例えばターコイズブルーに白を飛ばしたりするとまた全然違う
雰囲気のものができますよ」…うーん、それも素敵だろうなあ!
ポリカのベンチ…これは本当に新しい試みで、試行錯誤の連続でした。しかしその試行錯誤
さえ楽しんでしまう上田さんの努力が実り、ついに完成!
キラキラ輝くガラスタイルテーブルと、青味がかった白色ポリカベンチのシャープな透明感。
実を言うとこのコンビネーションが我が家の庭に与えてくれた「新しいバランス」の良さを実感する
までには、一日半ほどかかりました。(^_^;)
木やテラコッタなどの自然素材で作ったものが庭になじむのはあたりまえで、万人が心地よく
感じる組み合わせだと思います。そこをあえてこの新しい素材を取り入れたことによって、和の
雰囲気も持つ我が家のオーソドックスな庭に、新鮮なバランスが感じられるようになりました。
また、照明の効果で昼と夜では表情がまったく違って楽しいです。それに意外にも実用的でした。
これまでバーベキューのときはマリンランプだけじゃ暗くてクリップライトを足していたのですが、
その必要がなくなりましたから。
今の気持ち:
weberのバーベキューグリルもゲットしたし、これから夏に向けて涼しげな水音も楽しめるよう
壁泉の下に水鉢もプラスして、アウトドアを満喫する準備は万端!
こんな楽しいワクワクする機会を与えてくれた上田さんに感謝!
手作りのお弁当を私の分まで用意して、八幡から手伝いに来てくださった中野さんに感謝!
そしてこんなに素敵な人たちに巡り合えた自分の幸運に感謝!です。
Making
如何でした?
お施主さんの熱い思いがびしびし伝わってきます。
物を創る人間にとって、期待され、そして厳しい眼で見ていてくださることほどの
喜びはありません。それは同時にお互いにとって妥協の無い真剣な創作活動となります。
昔の建築、特に数奇屋はスクラッチ・アンド・ビルドといって、お施主さん立会いの下で
一緒に意匠を凝らしてきました。
もちろんお互いがあるレベルの選択眼、創る側はそれを形にする技術を伴っての話です。
これからもずっとずっとこのような創作活動を続けて行きたいと思ってます。
お知らせ
今回、行灯ベンチ仕様のポリカーボネイド。他にも使い道色々あります。例えば表札、ポスト。もっと大きく門柱、フェンス。
すべて一体型も可能ですしね。裏から明かりを照らして夜のオブジェと化します。
私は余分なパーツがバラバラであるよりもシンプルに一つの構造体としてあるほうが好きです。
ならば機能を兼ねたものを創ってしまえば良い!と最近思ってます。
(クリスマス時期にそれだけのために飾られるイルミネーションも個人宅においてはイマイチ賛成しかねます)
かなりオリジナリティ溢れる、まさしく一品物をもっともっと創りたいと思います。
このページをご覧の勇気ある方!チャレンジされてみませんか。
あなたの勇気に応えますよ(^^)・・・但し、現場施工の為、通勤可能な地域の方のみで願います。
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