協力職人衆: 後藤 憲秀 ; 末永 要一 ;射場左官
庭園空間スタッフ: 池見 拓也&緒方 俊介
意匠設計: 山口美恵
監修: 上田 剛
2006年夏竣工
施工前↓
完成後↓
初めて花野季さんに伺った時、その、包容力ある雰囲気に魅了されました。
なんというか。
遠い親戚のうちに遊びに来た子供、みたいな気分にさせてくれる・・・。
「あら、よう来たねー。おやつでも食べて行かんね。」
と、気軽に迎え入れてくれて、そのあとは過剰な世話はやかず、適度な距離感で接してくれて。
でも、帰る頃にはなぜだか元気が湧いて来てる。そんな感じ。
洗練、とか、整然、とか、手入れの行き届いた、とかじゃないのだけど、いい雰囲気。
店主荒木さんのお母さんが可愛がっておられたという木や草花たち、古道具たち、そして自然のままの岩や石たち。
それらのものから醸し出される、母性的なおおらかさ、懐かしさ。
そういうよさを活かしつつ、でも単にざっくり作っただけの庭じゃなく、少しだけ「もだん」なエッセンスも差して。
そんな庭作りができたらいいなあ、と思いました。
主な仕様は以下の通り。
正面にあったマキの木はアプローチ横に移植。
マキだけでなく、もともとあった木は、いわゆる昔ながらの玉散らし仕立てから、2〜3年かけて、枝を暴れさせるように剪定。
植栽は出来る限り元からあったものを移植。(さすが植物好きのお母さん。マニアックな草木がたくさんでした。)
木製のトレリスを花ブロックに。むらに塗装する作業は楽しかった。
近くで見ると白い目地が見えて綺麗。
裏側は、軒下で雨が当たらないのと、表とは雰囲気を変えたかったのとで、多肉植物をリズミカルに配置。アロエがたくさんあったので。
なかなか面白い感じになりました。
駐車スペースとアプローチはウリン材のフェンスで間仕切り。
その後ろに、工事途中に発掘?されたという甕(かめ)を置いたら、色がちょうどつながって、思いがけず効果的でした。
甕の上に差し掛けるように植えた斑入りのシャクナゲが、更に甕を活かしてくれてます。
駐車スペース床は 修学院離宮の一二三石(ひふみいし)ふうに砂利を埋め込み。車止めは皮付きのヒノキ丸太。
ちなみにうちの事務所のマークも一二三石がモチーフです。
↓「かんじき」履いて埋め込み作業中。
看板は こだわりの漆喰タイル製。小豆色のほうはわら入り。ベージュのほうはマーブル模様。(田川産業ライミックス)
銅の傘の照明は昔の電柱風。
足元にツルバキアという常緑の可愛い花と、元から花野季さんにあった寄せ植えを置いてみました。
アプローチ(ブラックストーン敷き)の主役は、やはり池!
もとからあった臼を使った池と、錆びた鉄鍋製の小さな池。
gouさん渾身の作です。
職人さんというのは、頭の中でなく、「手」でデザインするのでしょうか。
目の前にある限られた素材で、しかもそれらの持ち味を活かして、作っていくというのは、やはり「技」。そして「センス」。
もとからあった流木(倒木?)ですが、配置の仕方によって、水の流れをイメージさせてくれます。
そして、この池の周りの石組み・・・。
ぐるっと取り囲んだ中で、一箇所だけ石の置かれてない場所があります。利休梅の根元左側の部分。
ここが抜かれていることによって、後ろの花壇の端っこの大きな石が、「景石」として、が然!!生きてきているのです。驚きでした。
庭先にあった錆びた鉄鍋も、味のある池に生まれ変わりました。
移植した木や草花がちゃんと根付いてくれますように。
ときどき様子を見に(美味しいもの食べに)行きます。
店主荒木さん、お世話になりました。